HKTの指原莉乃さんがついに『裏側(舌側)矯正』を始められたそうですね
昨年、『僕らが考える夜』という番組の中で、
「もともと歯並びは悪いけど、(この番組では下から撮られることが多くて)これで喋ってたらもっと歯並び悪いのがバレるから超イヤ」
と、矯正を決心したことを公表されていました
最近のツイッターでは、
「歯が痛くなってきたけど、この歯が動いてる痛み大好き〜 。そんなことより滑舌悪くて、さしはらりのが言えない 」
「昨日からずっとおかゆ食べてるんだけどいつから固形物食べられるんだろう 。裏側矯正経験者の皆様おしえてください 」
「肉まん、、たべれる!!!」 「プリンおいC」
「矯正の影響で滑舌悪くて写メ会のとき、「ありがとうございまth!また待ってまth!!」ってなる、、、」
など、矯正に関するつぶやきが見受けられ、ちょっと応援したくなってしまいます(笑)。慣れてくれば大丈夫。それに、だんだん歯並びがきれいになっていくのが嬉しくて頑張れてしまうはずですよ
以前のブログ(芸能人にも増えてきた舌側(裏側)矯正 2015.07.27)でも紹介したように、最近は芸能人の裏側(舌側)矯正が増え、多くの方が矯正治療に興味をもってくださるようになりました。ありがたいことです。
西岡矯正歯科医院の患者さんも、多くが、同じように見た目(審美性)の改善を希望してご来院されます。
しかし 矯正治療によって改善されるのは、見た目(審美性)ばかりではありません。機能性の改善 僕ら歯科医師がとても重要視する問題です。
矯正歯科治療は、見た目と同時に、様々な障害の原因となり得る機能的問題も改善するという点で非常に重要な意義を持ちます。
さて、今日は2週間ぶりのブログということで、症例も用意してみましたょ
【症例1】
皆さんはこの歯並び、矯正治療が必要だと思われますか?
「ん?デコボコはそれほどひどくはなさそうだし、虫歯や歯周病のリスクもそんなに高くはなさそうだけど・・・?」と思われた方のために追加情報
あら
たしかに、『歯並び』という観点から見ると、デコボコはそれほどひどくないかもしれませんが、『咬み合わせ』という観点から見ると、いくつかの問題が現れてきます
まず一番わかりやすいのは、この症例が『上顎前突(=出っ歯)』であるということ。実際に患者さんは、「出っ歯を治したい」ということでご来院されました。
しかし、それ以外に(以上に)、この状態をほおっておくと、歯や顎に悪影響を及ぼす原因となり得る重大な問題が見てとれます。
「え?どこどこ」という方のために、まずは理想的な咬み合わせとはどのようなものなのかを復習してみましょう
*詳しくは、2014.10.06ブログ “お子さんあるいはご自身の矯正歯科治療を考える時に” をご参照ください。
理想的な咬合(こうごう)とは、上下の歯の山と谷がきちんと咬み合った状態です。
このバランスが悪いと、無意識のうちに、本来とは異なる “咬める場所” で咬む癖がつき、以下のような問題が生じてくる可能性が高くなります。
- 限られた歯にばかり強い力が加わり、虫歯でもないのに(もしくは虫歯の治療をきちんとしているのに)その歯に痛みが出たり、歯の周りの組織にも悪影響が及んで歯の寿命が短くなる
- 顎の動きが障害されて、顎に痛みが出たり、顎関節の骨が変形するなど、いわゆる『顎関節症』が引き起こされる
- 周囲の筋肉のバランスが崩れ、歯並びや発音にさらなる悪影響を与える。また、成長期では、顎骨の成長のバランスもくずれ、左右非対称な顔貌になる など。
さて、では、さきほどの症例をもう一度見てみましょう。
右側の奥歯は、きちんと歯の山と谷が咬み合っています
一方、左側の奥歯は、歯の山と山が当たっている状態で、きちんと物が咬めない状態であることが予想されます
また、正面の写真では、中心がずれていることがわかりますね 🙄
意外なことに、ほとんどの患者さんは、このような状態でも、それほど咬みにくさを訴えることはありません。
無意識のうちに “咬める場所” を選び、“それに合わせた顎の動き” で咬んでいるからです。歯や顎に負担がかかっていてもなかなか気づかないんですね。しかし、写真をさらによく見てみましょう・・・
物が咬みにくいであろう左側の犬歯とその横の小臼歯は本来の形態をしていますが、咬みやすい右側は?というと、その代償でしょうか、負担がかかり先端がすり減っているのがわかります 左右でアンバランスな力がかかっていることが見てとれますね
さて、この患者さん。治療をおこなった結果、
一番の悩みであった出っ歯も改善され、上下の咬み合わせも改善されて(山と谷が咬み合い、中心も合っています)、顎の動きもスムーズに、全体の歯でバランスよく物を咬めるようになりました。これからの人生、思いっきり笑って健康に過ごされることでしょう
ここまで読んでくださったみなさん。きっと、ご自身やお子さんの歯に対して高い意識をもたれている方だと思います。スバラシイ
長くなりましたが、あと1症例だけ、今度は子供さんの症例を簡単にご紹介させていただきますね
【症例2】
永久歯に生え替わっている段階のお子さんです。この歯並び、どうでしょうか?
そうですね。みなさん、だいぶん “観察力” が磨かれてきました
お気づきのように、右側奥歯の噛み合わせが反対になっており、いわゆる『交叉咬合(こうさこうごう)』と呼ばれる状態になっています
これにより、中心も右側にずれているのがわかります
このような場合、ほおっておくと、顎は右側に曲がって成長していき、将来、大きく左右非対称な顔貌になってしまいます。そうなると、それを治すには、全身麻酔が必要な、外科的手術を併用した矯正歯科治療が必要となってきます
このお子さんは、この段階で咬み合わせを改善したことで、そのリスクをなくすことができました
歯や顎関節も同様に、一度悪くなってしまうと、それを完全に元の状態に戻すことはとても困難です
ですから、悪くなる前に、あるいはそれ以上悪くならないために、そのリスクを取り除いておくことはとても大切なのです。
日本人は諸外国の人に比べて歯並びに関する意識が低い、とよく言われますが、僕は、意識が低いというよりは、このような情報を得る機会が少ないからではないかと思うのです
これをきっかけに、ご自身やお子さんの『歯並び』だけではなく、『咬み合わせ』もチェックしてみていただければ幸いです。
よくわからない場合は歯医者さんに相談しましょうね。
「もっと早く知っていれば・・・」と後悔する人が一人でも減りますように